第3章 サファイヤ
キッチンの説明を終えた後もグクさんとの会話は続いた。
JK「パクさんは元々BTSのマネージャーだったんだよ。」
日本から私とずっと一緒にいたパクさんの正体がやっと分かった。
○○「元々?」
JK「そう。もう結構な歳になったのと体調を崩したことも重なって、仕方なくマネージャーを辞めちゃったんだよね。
でも今は身体も良くなって事務所の事務員をやってるよ。
時々、現場に来てくれたりもする。
いるだけでなんだか安心するんだよね。」
いるだけで安心する存在。
メンバーとパクさんの強い絆を感じたのと同時に、揺るぎない信頼関係に少し羨ましくも思った。
SG「ヤー、ジョングギ~、早く寝ないと明日起きれないぞ」
ユンギさんがけだるそうにキッチンに入って来た。
JK「あ、すみません…もう2階へ行きます。」
怒られちゃった、と言わんばかりにグクさんは私にペロッと舌を出してみせる。
○○(なんて顔してるのよ///)
愛嬌のある顔に思わずドキッとしてしまう。
こんなことで動揺してしまうなんて、私は冷静に働けるのだろうか。
SG「えーっと…、ねぇ君、名前なんだっけ?」
冷蔵庫からペットボトルの水を取り出したユンギさんが私へと焦点を変える。
表情からは気持ちを読み取りづらいが、何となく怒られそうな気がした。
○○「△△○○です」
○○(こんな遅い時間まで話してたからな、さすがにまずいよね…)
しかし返ってきた言葉は予想とは全く違う内容だった。
SG「○○さん…気合い入れるのは大事ですけど、風呂場で奇声を上げるのはやめてくださいね。」
そう言って手に持っているペットボトルを私の頬に当てた。
○○「冷たっ!」
私のリアクションを見て満足したのか、ユンギさんはほんの少しだけ口角を上げた。
その顔はまるでイタズラをした子供のようだった。