第3章 サファイヤ
○○(…ここって私の部屋だよね。)
鼓動を落ち着かせながら辺りを確認する。
玄関から運んできたキャリーバッグ、テーブルにあるスマホ。
もちろん全て私が置いたものだ。
JK「あれ…?約束、本当に忘れちゃったの?悲しいなぁ。
ナムジュンヒョンとは普通に宿舎周ってたのに…。」
グクさんはがっくりと肩を落とし、小さな歩幅でゆっくりとソファーに移動した。
○○「え?!ちょ、グクさん、すみません…」
まだ何が起こったのか理解できずにいたが、テンションの下がった後ろ姿を見たら謝らずにはいられなかった。
○○(私、なにか約束したっけ?!えーっと…)
必死に記憶を辿る。
…………。
○○「あぁぁ!」
思い出した。思い出してしまった。
(数時間前)
(パク「よし、じゃぁ僕はこの後も事務所で仕事だから、そうだな…
ナムジュンと○○さんと歳の近いグク、ここを案内してくれ。」)
○○(そうだ、私「二人から」ここを案内してもらう予定だったんだ!)
文字通り絶句した。
私は無意識に口を開けたまま両手で顔を抑えていた。
このポーズは昔からの癖なのか、やらかしてしまった時によく出てくる。
JK「……っぷぷ。何それw」
グクさんが楽しそうに私の顔を見ている。
○○「…え?」
JK「今のその顔w、あぁ、あれに似てる!ムンクの叫びww」
私の顔がよっぽど面白かったのか。
落胆した様子はすっかり消えていた。