第3章 サファイヤ
大浴場から自分の部屋までは多少距離がある。
○○(さ、寒い…。)
廊下に床暖房が入っているようだが、さすがに冷える。
日本と変わらずどうやら韓国も冬という季節があるようだ。
やっと少し緊張していた身体がほぐれたと思ったら、今度は寒さで縮こまってしまう。
自分の部屋に着き、ドアノブに手をかけ扉を押す。
○○「あぁぁ…寒かっt」?「遅い!」
急に男の人の声が聞こえて私は固まってしまった。
扉を開けてすぐ視線に飛び込んできたのは、黒い服を着た男性の胸あたり、だろうか。
かなり距離が近いせいで他の物が視界に入らない。
?「ねぇ、どこ見てんの?俺の顔はこっち。」
そう言うと、その男性は私の背と同じくらいかがんで、視界は黒から端正な顔へと変わった。
○○「きゃああ!」
急に顔を近づけられて、思わず声をあげてしまった。
○○(待って待って待って近すぎる!///)
本気でこのままキスしてしまうんじゃないかと思った。
傍から見たら完全に「一歩手前」だ。
?「その感じを見ると…お風呂に入ってたんでしょ。
気持ちよかった?」
ビー玉のように丸くて光った瞳。
可愛い顔からは想像つかない逞しい身体。
私の部屋にいたのはグクさんだった。