第8章 クリスマスイブと【菅原】
あぁ、菅原がさっき
「12月25日だ」って言ったのは
そういうことだったんだ。なんて。
あまりにも予想外の展開に
一周回って冷静にそんなことを考える自分に
これまた別の自分がびっくりしてる。
「私がさ、クリスマスイブと誕生日
イベントが被ってるのがイヤだって言ったから。
今日、言ってくれたの?」
「うん」
「ただ今日はクリスマスで、また被ってるよ?」
「あ」
菅原の口が開いている。
「やっぱり気づいてなかったんだ」
ショック?を受けている菅原がおもしろくて
つい笑ってしまった。
「や、それもだけど。
アレ?もしかして流された?」
私が返事もせずにそんなことを言ったから。
だけど、冷静だった自分なんて一瞬でいなくなって。
なんだろう。
恥ずかしさとか
嬉しさ、とか。
胸の奥からじわりと滲み出てきた気持ちが
今、急速に膨らんでいって。
とりあえず首を横に振ってみて
「もっかい言っとく?」
なぜかそんなことを聞かれて。
だけど、もっかい
言ってくれるのであれば。
「じゃあ、せっかくだから」
「せっかくって(笑)
………ん"ん"っ」
右手の拳を口の前に持ってきて咳払いをする菅原に
私の背筋もピンと伸びる。
「?
俺と付き合ってください!」
「……はい!よろこんで!」
どうしようもなく嬉しくて
二人で顔を見合わせて笑った。