第5章 帰り道【北】
「ならが教えてくれへん?」
「へ?」
「乙女心とかよう知らんし。
だから教えてもらわなわからへんし」
「これは "はい、わかりました" って答えれば正解ですか?」
「そうなんやない?」
「…………まじですか」
「なんや、言いたいことあるならちゃんと言い」
「いや、私から伝えることはもう何もありませんので、
北さんにお返しします」
これ以上恥を晒したくない。
…………いや、完全に今さらやけど。
「なんやねん」
「いやもうまじで、
私しゃべらん方がいいと思います」
北さんに注意されてシュンとなってた日々を思い出す。
双子をはじめとするアイツらとの悪ふざけを見つかっては
一緒に悪ノリするなと注意された。
「それは困るわ」
「何が困るんですか…………」
一年前と変わらない
私がよく知ってる真顔の北さん。
…………はぁ
「彼女が口つぐんどったらおもんないやろ」
「へ?」
「さっきはすまんな。に言わせてしもて」
…………なにを?
北さんが空を見上げたから、
つられて私も上を向く。
そこは真っ暗闇で
いつの間にか、一面雲に覆われていて。
「(名前)?俺と付き合ってくれませんか?」