第5章 帰り道【北】
「…………え?」
…………………。
え?
なんとも言えない北さんの表情
…………あれ?
ちょっと待って??
「…………え?!ここまでいって私断られるんですか?!
え?!それはちょっと想定外というか、
いや、北さんが私にあんなこと言うてくれるなんて、
やっばりおかしいですよね?!
え、私なにか勘違いしてますね?!
北さんが言ってた忘れろってこのことですか?!え?!」
なぜか北さんと付き合えると思ってしまった
数秒前の自分をぶん殴りたい。
そうや、相手は北さんやで?
よーーーーく考えてみ?
私相手にありえへんやろ。
「ちょい待て。落ち着け」
「はいっ」
久しぶりの北さんの「落ち着け」に、
反射的に返事をする。
「いや、まずは間違ってへんよ」
「へ?」
「いや、あまりにもストレートにこられたから
びっくりしたというか…………」
モゴモゴと話す北さんは、やっぱり珍しい。
「あぁ、こんなんでスミマセン」
「いや、それはやし。
ただ、こんなんになるって思ってへんかったし
が言ってくれるとも思ってへんかったし」
「私、先走りましたか?」
「そうやな」
「そうやな、って………」
真顔で呆れている北さんも久しぶりだ。
…………はぁ
「すまんな」
「…………私今フラれたんですかね?」
「なんでそうなるん?文脈も読めんのか?
そんなんで来月の小論文いけるんか?」
「いや、だって。
私が私のことを守ってあげんと、私が傷つくやないですか」
「なんで傷つくん」
「北さんは乙女心を履修した方がええんやないですか?」
「どこで履修できるん」
「知りませんけど」
あぁ、北さんと話してるなぁっていうこの感じ。
懐かしさに嬉しくなるはずなのに、
いまいちどこに辿り着くのかわからなくて
楽しめない自分にまたため息。