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【ハイキュー】キミが好き【短編集】

第5章 帰り道【北】


北さんのことが好きだった。



いや、別に今他に好きな人がいるわけじゃないし

過去形にする必要はないんだけど、


だけど卒業後は会う機会もないし

北さんのことを好きだということは

実はもう、過去の話になっているのかもしれない。



ただ、彼女がいるのはおもしろくはないやん?

だから、つい。





「好きな人とかおらへんの?」



「んーーーー。いないこともないですけど」





そうなんだよなぁ。


たぶん北さんのことは一生好きなんやないかって思うし。

まぁ、一生言わんけど。





「てか北さんとこんな話するの初めてですね!

北さんが引退するまで、ほぼ毎日一緒に帰ってたのに!」



「そうやっけ?」



「そうですよ〜」





好きな人との時間を、覚えてないわけがない。

だけどこれは北さんは知らなくていいことだから。



ただ、そんな私の返事にそのまま会話が止まる。





………あれ?


私北さんと、毎日何話しながら帰ってたんだっけ?





二人並んで無言で歩く。



こんな時間は、初めてかもしれない。





「あ」



「どうしたん?」



「や、さっきまで曇ってたけど」





空を見上げる。




私につられて北さんも顔をあげて


立ち止まって、二人で月を見上げた。





秋の心地いい夜風が

私たちの間を通り抜ける。



サワサワと、木々の揺れる音だけが流れた。





「…………月、綺麗やな」
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