第5章 帰り道【北】
「なんやそれ。
…………そういえば治は専門決まったんやってな」
「そうです。
…………治、ほんまにもうバレーせんのかな」
つい、こぼれてしまった。
もちろん本人にこんなことは言わない。
「は中学から一緒やもんな」
「ですね。なんだかんだでずーっと双子のバレー見てきたんで
もうあの二人を見れないんかって思うと、
やっぱりちょっと寂しかったりします」
近所のお姉ちゃんがやっていたバレー部のマネージャー
運動は得意ではなかった。
だからこそ憧れがあって、自分はやらなくていいマネージャーをやってみた。
そしたらそこで双子に出会って、
なんだかんだで一緒に稲荷崎にきて。
だからやっぱり、寂しい。
「…………は双子と、仲ええよな」
「中学から一緒ですからね!」
「特に治と、仲ええよな?」
「そうですか?でも治の方がまだまともなんで、
そうかもしれませんね!」
「お前ひどいな」
「しょーがなくないですか?」
笑いながら答えたけど、
侑のキレ癖はほんまにどうにかしてほしい。
「………治と、付き合ったりしてるん?」
「え?!?!なんでですか?!」
「いや、だから。仲ええやん」
突然何を言い出すのかと
思わず北さんを見上げたけど、
北さんはいつもと何も変わらない。