第1章 リップ【国見英】
学校は違うけど、それぞれ地元の大学に進学して
そして、数週間前
飲み物を買おうと寄ったコンビニで、
数年ぶり、よりももっとかな?
とにかく、中学の卒業式ぶりの英くんと会った。
久しぶりの英くんは、就活中でリクルートスーツを着ていて、
高校のブレザー姿すら見たことがなかった私は
最初全然わかんなくて。
だけど、偶然コンビニに居合わせた男の人に
突然名前を呼ばれて。
………それが数週間前の英くん。
ちなみに、すぐに英くんだと気づけなくて
久しぶりにすごく静かに怒られた。
で、その日がちょうど最終面接だったらしくって
今部屋にいるのは、内定をもらって就活を終えた英くん。
「ねぇ、英くん。私夕方出るんだけど」
丁寧に髪を巻きながら
私のベッドに寝転んでいる人にそう伝える。
「じゃあその時に一緒に出る」
………はぁ。
スマホからピクリとも動かない視線。
私が伝えたいことは
こんな言い方じゃ、英くんには伝わらない。