第4章 休日【及川】
冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出して
氷が入ったグラスに注ぐ。
カランと氷が崩れる音は
涼を感じることができるから好き。
二人並んでソファーに座って
「ねぇ、徹。リモコン取って?」
「はーい。どうぞ」
「ありがと!」
「………もしかして、コレわがまま?」
「うん。世界の及川徹にリモコン取らせたんだもん」
「もう少しわがままっぽいヤツ言ってよ~!」
なんてことのないやり取り
二人で顔を見合わせて笑った。
徹から受け取ったリモコンで、
本日のメインの映画を再生。
見たかったのは、大道のラブストーリー
異国で偶然出会った二人が同じ時間を過ごすんだけど
途中で離れて、そして今度は本当に結ばれるお話。
「ねぇ、徹。飲み物とって?」
「はい」
視線はテレビに向けたまま、
受け取ったコーヒーを口に含む。
そして映画はいよいよ終盤へ
基本的に、涙腺は緩い。
「………ティッシュとって、ぐずっ」
「はい」
右側の徹にもたれ掛かりながら
止まらない涙と鼻水を拭う。
こういう話は特に弱い。
そして、異国で出会った二人に
なんとなく自分を重ねてしまった。
………私たちの結末は
いったいどうなるんだろう。