第4章 休日【及川】
ボーッとした私の目の前では、
情緒的な、十二分に余韻が残る音楽と共に
エンドロールが流れる。
「ねぇ、徹。手、繋いで?」
「はい」
徹の左手が私の右手を捕まえて
「………ねぇ。
まだキスしてって言ってない」
「そんな顔してるのに?」
どんな顔?って聞く前に、また唇を塞がれる。
そのままゆっくりと
私の身体は左側に傾いて、
私の上に徹が重なる。
繋いでいたはずの手は、いつの間にか私の首裏に回っていて
ゾワゾワとする感覚に、思わず身を捩る。
そして今度は反対側の手を、
正面から、手を合わせるように
ただ、私たちの指は
お互いに、離さないというように絡み合う。
唇が離れて、すぐそこにいる徹と目が合って
「………バカ」
「素直じゃないな~」
何か反論をしたかったんだけど、
その前にまた、唇を塞がれた。
「ねぇ、徹?」
「んーーーー?」
「私を見つけてくれてありがとう」
きっかけは何であれ
徹が私を見つけてくれた。
私の首筋にキスをする、
徹のセットされていない髪をそっと撫でて
そのまま、私の大好きな
大きな背中に手をまわす。
私たちのエンディングはまだわからないけど
できる事なら、私たちにも
この音楽に見合うエンディングを。
ただ、もしもそうじゃなくても
それでも、
私を見つけてくれてありがとう。
ふわりと膨らむレースカーテン
重なる私たちの横を心地いい風が通り過ぎる。
それでもやっぱり。
どうかこれからも、
隣にいることができますように。
--- end ---
2022.2.15
及川さんのリクエスト、ありがとうございました!