第3章 リップ(だいたい一年後 / 国見)
やりたいこと、ねぇ。
俺も銀行員になりたかったのか?と聞かれると、
別にそういうわけではない。
リスクが少なそうで、安定していそうな職種に絞ったらたどり着いた。
だし、はっきりと決まってる人の方が少ないんじゃないかって。
個人的にはそう思うんだけど。
ただ、こんなに落ち込んでいて、
エントリーシートくらいなら手伝ってあげれるけど、
でも就活は最後は自分でやるしかないし。
だから今は下手な言葉はかけない方がいいのかな?なんて。
「………大丈夫?」
相変わらず膝をついて項垂れたままの(名前)に声をかける。
「大丈夫じゃないかも………」
やっぱりすごい落ち込んでる。
「不安になってるの?」
「………うん」
「無理に、就職しなくてもいいんじゃない?」
別にそれだけが選択肢ではないと思う。
まぁ、自分は違ったけど、
いろいろあっていいんじゃない?って。
「就職しないでどうするの………」
だけど、知ってたけど
やっぱりも俺と同じ考えだから。
うーーーーーん。
「………よっ」
どうしよう。
と考えた。けど
ベッドに寝転んでいた身体を起こして、
の前に座って。
ポンポンって
頭を撫でる。
小さい頃から、何かあればこうしてた。
一つ下の小さな女の子のことは、
俺が好きな女の子のことは。
俺が守らなきゃいけない、って
ずっとそう、思ってた。