いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第10章 4年ぶりの場所
–No side–
「ここに何をしに来た」
『んー、人を探しに?』
沙羅の前と後ろには
銃を構えた黒服の集団、
逃がすまいと道を塞いでいる。
「こんな場所にたった一人で人探しに来る人なんているわけがないだろう」
『あるから来たんだけどなぁ』
沙羅は相変わらず
向けられた銃に怯むわけでもなく
早くどいてくれないかなぁ
なんてことを思っていた
「夢月殿。」
仕方ない、と沙羅が
異能を使おうとした時
集団の中から一人の男が前に出た
『おー、久しぶりだね広津さん。あ、でもこの前会ったね』
「やはりあの時あの場所に居たのは貴方でしたか」
その男__広津柳浪は周りの黒服集団に
銃を下ろすように指示すると
沙羅の目の前に立った
「芥川先輩もでしたけど…広津さんもこの人と知り合いなんですか?」
その横にいた樋口は
不思議そうに広津に問う
「知り合い、ではなく____」
知り合いではなく、元上司でもある
そう答えようとした時
ビルの中から芥川が出てきて
言葉は遮られた
「何の騒ぎだ。」
『あ、龍君!』
沙羅を囲んでいた黒服集団は
入り口に道を作るように両脇に避けると
沙羅と芥川の視線が合った
「……マフィア本拠地に単独で正面から突入とは、どういうつもりですか?」
『私は別に喧嘩しにきたわけじゃないよ。行方不明の自殺愛好家さんを迎えにきたの』
「貴方には全てお見通しか」
『だからここ通して欲しいんだけど、だめ?』