いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第10章 4年ぶりの場所
「でも、まさか……本当にこの人が…?」
もう一度沙羅の姿をじっと見る樋口
他の構成員達もまだ信じられない様子だ
『…そんなに警戒しなくても、私は戦いに来た訳じゃないよ?まぁ、そっちがその気ならやっても良いけど』
大勢のポートマフィア構成員達を前にし
全く動じない沙羅、
それだけでも、“この人は只者じゃない”と悟らせる
「戦う意志のない者に戦いを挑むのは無意味だ。それも、この方が相手なら特に。」
『って事だから、ここ通してもらうよ』
芥川の言葉に続いて
沙羅はマフィアビル入り口の扉を開けた
「あの!!……一つ、質問をしてもよろしいですか」
『質問?いいけど…』
沙羅はくるっと振り返ると、
声の主、樋口の方を見た
「貴方は…マフィアの中でも1番の成績を残していたような方なのに、どうしてマフィアを辞めたんですか?」
この質問に、その場の空気は一瞬凍りついた
普通、そういう話題は簡単に触れようとなんて
思わないだろうに
樋口は何の躊躇もなく沙羅に問いかけた
それでも、沙羅が
マフィアからいなくなった理由を
誰もが知りたがっていたからか
誰も口を挟まず
静かに沙羅の言葉を待っている