いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第1章 黒の時代
「きっと君は、私が言い訳を求めているように見えたのだろう。誤解させて悪かったね」
太宰は芥川の方へ歩いて近づきながら
「銃貸して」
隣にいた黒服の男にそう言い
銃を受け取った
「私と沙羅の友人に、孤児を個人的に扶養している男がいてね。貧民街で君を拾ったのが織田作だったら、きっと君を見捨てず、辛抱強く導いたろう。それが正しさだ。」
淡々と言葉を吐き捨てるように
語る太宰は、表情ひとつ変えず
受け取った銃を芥川の方へ向ける
『…ちょっと待って!!それはやりすぎ』
と同時に、
先程まで黙って太宰と芥川の
会話を聞いていた沙羅が
その銃口の前へ飛び出し、
芥川を守るように立ちはだかった
「沙羅、君に銃なんて向けたくないんだけれど。…早くそこを退くんだ」
『いくらなんでも、裏切った訳でもないのに仲間に銃を向ける事ないでしょ』
銃を向けられているにも関わらず
沙羅は全く動揺を見せず
芥川の側に駆け寄る
「…………沙羅に銃撃が効かないのは知っている。退かないのならこの状態で撃つよ」
その言葉に沙羅は
無言で太宰の方を
睨むようにじっと見つめていた
「…私は、織田作のようなその正しさのほうから嫌われた男だ。そういう男はね________
使えない部下をこうするんだ」
芥川のそばに
沙羅がいるにも関わらず
太宰は容赦なく銃の引き金を引いた。
薄暗い地下のこの場に
3発の銃声が響き渡る