いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第1章 黒の時代
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太宰と沙羅は、
薄暗いポートマフィアビルの地下にある
場所へ向かって淡々と歩いていた。
特に何か話す訳でもなく
ただ向かう場所へ歩く
「説明が欲しいな」
目的の場所にたどり着くや否や
太宰は静かにそう言った
目の前には3人の死者、
床に血が広がっている。
「カジノを襲撃したミミックの兵士を、計画通り昏倒性のガスで捕らえました。1人は自殺しましたが残りの3人はここに運びました。仲間の情報を吐かせる手筈でした。奥歯に仕込んだ自決用の毒薬も取り外しました」
そう、
カジノを襲撃したミミックの兵士達を、
拷問のためにこの場に運んだのだ
だが、太宰が訊きたいのは
そういうことではなかった
「それは知ってるよ。全て私の計画通りだからね。訊きたいのはその先だ」
「想像よりも早く、兵士の一人が目覚めました。手枷を嵌める前に。我々から銃を奪い、おそらくは口封じのために仲間を射殺し、我々にも襲い掛かってきました_________」
「それを僕が処断した」
黒服の男の言葉を遮るように
1人の男がそう言った
「何か問題でも」
その男は、芥川龍之介という男
黒く長いロングコートを身につけている
「なるほどね…いや何も問題はないよ。敵兵士を倒し、仲間を守った訳だね芥川君。全くもって素晴らしい」
素晴らしい、そう言いつつも
太宰の表情は少し強張っていた
「君でなければ、そのような強敵を一撃のもとに倒すなどできなかったろう。流石は私と沙羅の部下だ。お陰で捕らえた敵は全員死亡だ。罠を張ってまで苦労して生け捕りにした兵士をねぇ。これで手がかりは無くなった。一人でも生き残っていれば、本拠地、目的、指揮官の素性、名前、異能力。貴重な情報が訊き出せたただろうに。」
「情報など…連中如き僕が纏め___________」
何事かと思えば、
太宰が突然、芥川を殴りつけた
言葉を言い終わらせる前に。
殴られた芥川は
数メートル後ろへ飛ばされる