いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第1章 黒の時代
___________異能力、
『仮想魔法』“防御”
沙羅は太宰と会話しながらも
自身の異能で自分と芥川の体を
防御して攻撃が効かないようにしていた
が、
その防御に何かが触れた反応は無く
代わりに沙羅の目の前に、
芥川の異能
ギリギリの所で
芥川が異能で銃弾を止めたのだ。
「へぇ……やれば出来るじゃないか。何度も教えただろう」
カランと銃弾が地面に落ちると
芥川は、大きく呼吸をしながら
地面に手を付いた
「哀れな捕虜を切り裂くだけが君の力の全てじゃない。そうやって防御に使う事もできるはずだって」
「これまで一度も成功したことはなかったのに」
「でもこうして成功した。めでたいねぇ。」
皮肉のようにそう云い捨てると
先程まで表情を変えなかった
太宰の表情が変わり
「次しくじったら。……2回殴って5発打つ。」
芥川を睨みつけながらそう言った
流石幹部、
とも言わせるようなこの圧力
いくら攻撃が効かない立場だといっても
沙羅にも太宰のこの表情には
ものすごい圧で押し負けそうになる
「さてと、死体を調べてみよう。何か出るかもしれない」
そして太宰は何事もなかったかのように
くるりと死体の方へ方向を変えた。
『………龍くん、大丈夫?』
沙羅は芥川のそばに寄って
体を支えながら言葉をかける
「はい……先程は_______」
だが、
返答しようと口を開いた芥川の言葉は、
直ぐに太宰に遮られた
「沙羅、君も手伝ってくれるかい?」
『分かった、今行く』
太宰に呼ばれた沙羅は
その場に立ち上がると
『……本当に困った時は、私を頼っていいからね』
小声で芥川にそう囁いてから
太宰の元へ向かった