いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第9章 私の嘘
ーNo side–
『大丈夫!?すごい音がしたけど』
沙羅と太宰は急いで探偵社に戻ると
「うわー、こりゃまた修理代高そうだねぇ」
探偵社の皆が
襲撃してきたマフィアを捕らえて
窓からポーンと外投げ捨てていた
「これだから襲撃は厭なのだ。備品の始末に壊れた物の修理代、近隣からの苦情の対応…全く、いつものことながら本当に迷惑だ」
国木田が手帳にメモを書き込みながら
サラッとそう言う
「い、いつもの事なんですか…」
そして入り口付近で
ポカンと口を開けて立っている敦
『敦君、多分、すぐ慣れるから大丈夫だよ』
「何も大丈夫じゃないんですけど?!」
太宰が敦の肩に手を置いた
「ほら、私達も片付けしよう」
そして沙羅と太宰は
何事もなかったかのように
部屋に散乱した物を片付け始める
「敦、いつまで其処に突っ立っている。片付け手伝え。自分に出来る事を考えておけと云っただろう」
国木田に云われた敦は、
なんだか少し頬が緩んだ
「……なんだ、泣いてるのか?」
「…泣いてません」
そう答える敦の目からは、
ぽろぽろと涙が溢れていた
「泣いてるだろー」
「これは…違うんです!!」
“自分にできる事を”
暖かい探偵社の皆、
マフィアを簡単に追い返した探偵社、
…僕は此処にいてもいいんだ、と