いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第6章 人生万事塞翁が虎。/ 闇と光
沙羅は芥川の隣まで歩いて行くと
芥川の耳元に顔を近づけ、
2人にしか聞こえない声量で言葉を発した
『多少の損傷、損害は目を瞑るけど…私の仲間を本気で傷つけようものなら、ポートマフィアだろうと容赦しないからね。これ、肝に銘じておいて』
「…善処します」
沙羅と芥川の視線が合った
お互いまだ何か言いたげだったが
口を開く前に1人の男に遮られた
「おい手前らこんな場所で何やってんだ?任務はもう終わってんだ……ろ…?」
『え』
そして同時に沙羅の視線も
その男に向けられる
倉庫の外からやってきたその男、
「中原幹部、お戻りになられたのですか?!」
「いや、長期任務はまだ終わってねぇ。用があってヨコハマに来て偶々通りかかっただけだ」
入り口を塞ぐように立っていた
ポートマフィアの構成員は
塞いでいた入口を避け、壁側に立ち退いた
『……それじゃ、私はこれで』
沙羅は目を伏せたまま
入り口から外に出ようとすると
すれ違いざまに中也に腕を掴まれた
「待て。」
『………。』
「シカトしてんじゃねぇよ」
沙羅はまさか
中也がここにいるとは予想していなかった為
銃を向けられた時は全く動揺しなかったのに
今はすごく動揺している
『……だって…中也がいると思ってなかったし…』