いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第6章 人生万事塞翁が虎。/ 闇と光
_______異能力集団“武装探偵社”
軍や警察に頼れないような
危険な依頼を専門にする探偵集団
昼の世界と夜の世界、
その間を取り仕切る薄暮の武装集団
そして、武装探偵社の社員は
多くが異能の力を持つ
能力者である___________
「どうした、沙羅」
『……ごめん、ちょっと先行ってて貰える?』
あの後、敦くんが目を覚まして
ひとまず探偵社の寮に戻る事になった
全員倉庫から出て、
探偵社へ向かおうと歩き出した所で
沙羅がついて来ていないことに
国木田が気が付いて声をかけたのだ
「…能力者といえど女性が夜中にこんな場所で1人は危ないだろう、用事があるなら俺も_____」
『大丈夫!…というか、1人の方が都合の良い用事だから。心配してくれてありがとね!』
「…そうか、何かあったら探偵社の誰かにすぐに連絡しろ」
沙羅は探偵社の皆と
大分離れた事を確認すると、
クルッと背を向けもう一度倉庫の中に入った
『…やっぱり、気の所為じゃないな』
沙羅が此処に残った理由は一つ
嫌な気配を感じ取ってしまったから
黒くて、闇が深くて、
懐かしい気配。
今はまだこの気配と探偵社を
遭遇させてはいけない、と。
『“防御”』
小さく呟いた瞬間
倉庫の入り口に大勢の人影が現れた
「そこのお前、こんな所で何をしている!」
その声に振り向けば
真っ黒な服を着た集団が
沙羅の方へ銃を構えて立っていた
多分、さっき敦が虎化して暴れていた時の
大きな物音を聞いてやってきたのだろう