いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第6章 人生万事塞翁が虎。/ 闇と光
「あぁ遅かったね、虎は捕まえたよ」
声の主は国木田で、
駆け足で倉庫に入ってきた
「その小僧…」
「うん、虎の能力者だ。」
『変身してる間の記憶がなかったんだね』
「全く…次から事前に説明しろ。肝が冷えたぞ。お陰で非番の奴らまで駆り出す始末だ、皆に酒でも奢れ」
やれやれと呆れたような
ホッとしたような国木田は
クルッと向きを変えて“皆”を呼ぶと
続々と探偵社の仲間が姿を表した
「なンだ、怪我人はなしかい?つまんないねェ」
与謝野晶子_____
能力名“君死給勿”
「はっはっは。中々やるようになったじゃないか太宰、沙羅。まぁ、僕には及ばないけどね」
江戸川乱歩_____
能力名“超推理”
「でもそのヒトどうするんです?自覚はなかったわけでしょ?」
宮沢賢治_______
能力名“雨ニモマケズ”
「どうする太宰?一応区の災害指定猛獣だぞ」
国木田独歩_____
能力名“独歩吟客”
『治、もう決めてあるんでしょ?』
夢月沙羅_______
能力名“仮想魔法”
「勿論、もう決めてある」
太宰治_________
能力名“人間失格”
太宰はチラッと敦を見ると
ニコッと微笑んで
「うちの社員にする」
と言った。
そしそれを聞いた探偵社員一同は
3秒間の沈黙の後、
「はぁぁぁぁぁ!?!」
と、大声を上げた。
________これが事の始まり
怪奇ひしめくこの街で
変人揃いの探偵社で
これより始まる怪奇譚
これが先触れ 前兆し________
________中島敦
能力名“月下獣”