いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第1章 黒の時代
「この弾痕の数で貫通ってことは、近距離からサブマシンガンか。かなりの手際だ。期待させてくれるね。倉庫の監視映像はある?」
死体を観察し、早々に原因を探っていく
さっきまでゲームを
していた人とは思えない。
倉庫の監視映像の写真を何枚か受け取り
沙羅と太宰はその写真を覗き込む
『ぱっと見たところはただの放浪者だけど、相当訓練された兵だね』
「それぞれが死角を消すように移動してる」
沙羅と太宰の後ろで
ゲーム機から敗北の音が
流れたのと同時に
太宰が広津の名前を呼んだ
「広津さん」
「面目御座いません…もう一度機会を頂ければ必ずや」
「この銃分かる?」
ゲーム機を渡した事など
忘れたかのように、太宰がそう問う
「古い型式ですな。おそらくグラオガイスト、欧州の旧式拳銃です」
『この銃…私昨日見た気がする』
沙羅がそう言うと
太宰は写真を持ったまま立ち上がった
「…ということは、武器庫の襲撃者はその直前に私達を襲ったことになる。ならあれは陽動か?ふふ、これは面白い」
今回襲われたのは
ポートマフィア最高保管庫の一つ
そして、そこに
準幹部クラスの人間しか知るはずのない
正規の暗証番号で侵入している
「まさか…マフィアの中に裏切り者が?この組織の正体、わかられるのですか?」
「昨日の捕虜を拷問して情報を吐かせようとしたのだけど、一瞬の隙をついて奥歯に仕込んだ毒をあおって自害したのだよ。ただ一つ聞き出せた……敵の組織の名前は」
“ミミック”