いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第6章 人生万事塞翁が虎。/ 闇と光
「敦君、これから暇?」
ニコニコと万円の笑みで
太宰に指を差された敦は
ぞっとする何かを感じて少し後ずさる
「………猛烈に嫌な予感がするのですが」
「君が“人食い虎”に狙われているなら好都合だよね。虎探しを手伝ってくれないかな」
「い、いい嫌ですよ!それってつまり餌じゃないいですかえ!誰がそんな____」
「報酬出るよ」
椅子から勢いよく立ち上がり
抗議しようとした敦だったが、
報酬という言葉を聞いてピタっと動きを止めた
「……。」
『………。』
そして太宰は笑顔で沙羅の方を見ると
沙羅は「え」という
面倒くさそうな顔をした。
無言の2人のやりとりを見ていた
国木田と敦は訳がわからず2人を凝視する
『はぁー…分かった分かった。…ねぇ、敦君』
沙羅は席から立ち上がると
敦の隣に立った
「はいっ?!」
『虎探し、一緒に手伝って欲しいんだけど…ダメかな…?』
「…………手伝います」
これが沙羅お得意の交渉術
相手の手を握って
上目遣いで少し首を傾げる
これで首を縦に振らない男はいない
沙羅を前に顔を赤らめた敦は
思わず手伝うという選択をしてしまった
「……ねー沙羅、今の私にもやってよ____」
『却下。で、国木田君は社に戻ってこの紙を社長に』
太宰に言葉に被せて即答した沙羅は
太宰の持っていた紙を
バッと奪い取って国木田に手渡した
「おい、お前達で捕まえる気か?まずは情報の裏を取って_____」
「いいから」
諦めて協力する事にした敦は
少しの期待を抱いて質問をした
「ち、ちなみに報酬はいかほど?」
「こんくらい」
目の前に出された紙を見ると
敦は驚いて目を大きく見開いた