いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第5章 私が選ぶ場所
「私も知ってたわよ?だってチュウヤが沙羅を見る時、いつもすっごく優しい顔してるんだもの」
「エリス嬢まで?!」
まさか自分の気持ちを知られていたなんて
思ってもいなかった中也、
そしてそれを見て
揶揄うように笑う森とエリス、
会話だけ聞いていれば
ここがマフィアのボスの
執務室だという事を忘れそうになる
「だからこそ君は彼女を止めると思っていたんだけどね。少し意外だったよ」
「……首領」
中也は少し黙って考えてから、
一つの封筒を森に差し出した
「此れは?」
「沙羅から、首領に渡すよう頼まれました」
沙羅が此処から去る前、
森に渡して欲しいと頼んでおいた手紙だ
森は封筒を受け取ると
そっと中身を取り出した
ピンク色の封筒に、真っ白な便箋
いかにも沙羅らしい色だと
そう思った。
_______森鴎外 様
何も言わすに此の場を去った事、
此処に謝罪致します
ですが、戻ってくるつもりありません
今まで私をポートマフィアの一員として
受け入れてくれた事、深く感謝します。
そして、この手紙に目を通して頂き、
ありがとうございます
ここから先は、
ポートマフィアの夢月沙羅ではなく、
1人の人間としての夢月沙羅の
手紙を書かせて頂きます。