いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
−沙羅side−
『ありがと、中也!』
なんて言ってニコッと笑ってみせたけど
色々起こりすぎて
私の脳内はそれどころじゃなかった
心臓バックバクだし
顔が赤くなってるのも隠せてない気がするし
危うく今私がここにいる理由すら
忘れそうになる。
『…でも、私がこれ受け取っていいの?』
「?良いに決まってんだろ」
『だって、私に物を贈るって事は…』
私の使う“転移”の能力は
特定の人の場所に転移したい時、
その目的地にいる人の
所有物に触れる事が条件だ
私が中也から物を受け取れば、
マフィアから出ていくにも関わらず
いつでも中也の所へ転移する事が
できるということになる
この先私がマフィアと敵対する事が
ないなんて言い切れないし
むしろ敵対する可能性のが高いと思う
中也はそれを判っている筈…
「莫ー迦、それも含めて手前に渡したんだよ。…俺は、いつでも手前の味方だ。」
『そっか……ありがとう、大事にするね!』
中也はきっと、私が帰る場所を
作っておいてくれようとしてるんだろう
私が向かった先で、
もし居場所が無くなったら
もしまた過去と同じ過ちを繰り返したら
その時は、此処に帰って来ればいい。と
『………お人好しすぎるでしょ…』
自分だけに聞こえる声量で
呆れるように呟いた