いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
−中也side−
正直、この気持ちを沙羅に
伝えるつもりは無かった
けど、沙羅が本当にこの場から
出て行くなら次いつ会えるのか判らないし、
またいつか会えるなんて保証も無い
ましてや沙羅が向かう先にいるのは太宰だ
そう考えたら
こうやって2人きりで会えるうちに
伝えておくべきだと思った
「ま、別に今すぐ返事が欲しいとかそういう訳じゃねぇよ。」
返事を求めて言った訳でもない
きっと沙羅は今迄俺の気持ちに
気付いていなかっただろうし
今返事を急かしてもいい事はない
けど、これできっと沙羅は
絶対に俺の事を忘れられなくなる
…なんて考えてる自分もいた
俺はポケットに入れていた髪飾りを取り出すと
そっと沙羅の髪に触れて
耳の少し上あたりにその髪飾りを付けてやった
『これは……?』
沙羅はその髪飾りに触れながら
俺の方を見て首をかしげた
「桜の形をした髪飾りだ。手前に似合うと思って買ったけど…思った通り、よく似合ってる」
この髪飾りを見つけた時、一番最初に
浮かんだのが沙羅の姿だった
沙羅の髪は桜色、
すごく綺麗な色で、初めて会った時は
こんな色が存在するのかとまで思った
『ふふ……ありがと、中也!』
満月の下で笑う沙羅は
すごく綺麗な笑顔だった
この笑顔は俺に向けられた物、
そう考えると、なんだか嬉しくて
俺まで笑顔になってしまう
心臓の鼓動が速くなっている事にも気づかず
目の前に立つ沙羅の姿を見つめていた