いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
−沙羅side−
微かに触れた温かい熱が
唇から離れると、
中也の青い瞳が、真っ直ぐ私を見た
『…と、突然どうしたの?今は別に異能の強化はして貰わなくても平気だけど…』
あまりにも自然にキスをされた所為か
いつもなら恥ずかしくなって
直ぐに目を逸らす私だけど、
今は困惑と疑問が勝って
そんな感情なんて忘れていた
「あ?……手前…もしかして、俺が異能の為にキスしたと思ってんのか?」
『え、違うの?』
仕事中の異能強化の為になら
中也とも何回かキスをした事はある
だからてっきり今のも
その為かと思ったんだけど…。
何か言おうとしている中也の
言葉を黙って待っていると
《ダンッ》
と顔のすぐ横で壁を叩く音がして、
「……いいか…一回しか言わねぇぞ…」
中也は右手を壁に付いたまま
もう片方の手で私の顎を軽く持ち上げた
逃がさない、そう言っているみたいに
中也の鋭い瞳が私を捉えて離さない
「俺は……、沙羅の事が、好きだ。ずっと前から。」
『へ……?』
一瞬だけ、時が止まったような気がした。
私を、好き……??
…中也が?!
確かに中也は大切な人だし、
仲間として、大好きな人でもある。
でも…この状況で好きと言われれば
誰だってそういう意味だと想像するだろう
中也は嘘でこういうこと
言う人じゃないし、
嘘をつくメリットなんて無い筈
『え…っと、それはどういう…んっ!?』