いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
−中也side−
“友の最期の言葉”
そう言った沙羅の表情は、
曇ってはいなかった
むしろ、今迄で一番、澄んでいた
「…俺は別に、手前を引き止めに来た訳じゃねぇ。」
『…うん』
「見送りに来た訳でもねぇ。」
『…うん』
じゃあ何しに来たんだって話だが、
この沙羅のした選択は
本当に心からの物なのか、それを見極めに来た
俺は、手前がどんな選択をしようと
それで沙羅が笑っていられるなら、
それでいい。
…なんて、カッコいい事を言えたら
完璧なんだろうな。
“笑っていてくれるならいい”
そう思っているのは本心だ
でも、
沙羅が笑っていられる場所は
俺の隣であって欲しい
俺が、一番近くで沙羅を、
笑顔にしたい。
これが、本心だった
俺はゆっくり沙羅に近づくと
沙羅の頬に片手を添えた
沙羅の紫色の瞳は
夜の月に照らされて一段と綺麗に見える
そっと目を閉じて、
唇を重ねた