いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
−沙羅side−
『…中也。』
判っていた
中也がこの場所にいる事は
先程異能で探知の力を使った時、
同時に中也の居場所も調べていた
判っていて、態々この場所に転移した。
会いたくないのなら
ビルの前なんか転移先に選ばない
そのまま目的の、
治の所に転移すればいいだけの話
そもそも、昨日
“手前が決めた事にケチつけるつもりはねぇ”
これを言われた時点で中也は、
私が何をしようとしていたのか判っていた筈
「行くのか、彼奴の所に」
『…うん。丁度今、探知の異能が消えた反応があった。』
探知の能力は、探す相手の情報を
詳しく知っていれば知っているほど
正確な場所がわかるという力
でも、治は私の異能も無効化してしまう
なら、無効化された反応があった場所に
彼はいる。
「…はー、手前、そこまでして太宰を追いかけたいのか?」
『…治の事は大切だけど、私は追いかける訳じゃないよ。…友の最期の言葉を信じる事にした。ただ、それだけ」