いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
『“探知”』
沙羅のその一言によって
夜のヨコハマに、
静かに沙羅の異能が降り注いだ
『これで準備は終わり。あとは、私が覚悟を決めるだけ』
沙羅は大きく深呼吸をして
俯いていた顔を真っ直ぐと向き直す
その瞳にはもう、迷いは無かった
________ありがとう、
私に居場所をくれて______。
『“転移”!!』
もう一度新たな魔法陣を出現させ、
自分自身を転移の異能で包み込んだ
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沙羅はポートマフィアビルの
入り口近くに転移すると、
キャリーケースを引きながら
真っ直ぐと歩き始める。
ガラガラガラ、と
キャリーケースの車輪の音だけが
その場に響いていた
そして、曲がり角の前で
その音は止まった。
「……ポートマフィア準幹部といえど、仮にも女がこんな時間に一人で外出とは、随分物騒じゃねぇか」
沙羅の進もうとしていた道の角で
腕を組んで壁に寄りかかっている中也が
そう言った