いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第4章 君がくれた桜の花
−No side−
________翌日。
沙羅は太宰の
残していった仕事を全て終わらせ
自室で小さなキャリーケースに
荷物を詰めている所だった。
といっても、
元々この部屋に物なんて少ないし
入れる荷物は最低限の生活必需品だけ。
それでも、その荷物すら無くなったこの部屋は
少し名残惜しかった
『…これで全部。』
自室の隣の執務室の方に出ると、
いつも身につけている
コートとキャリーケースを
まとめてソファーの横に置き、
ぐるりと部屋を見渡した。
『あと私がやる事は2つ。』
ドサッとソファーに座り、
目の前の机に
一枚の便箋と封筒を取り出す
そして、ペンを握る
『…これは、マフィアとしてじゃなく、私個人の手紙。』
沙羅が書いた
手紙の宛名には
________森鴎外 様
と書かれていた。
便箋を封筒に入れ、コートを羽織ると
その封筒をポケットに仕舞った。
『異能力…仮想魔法…』
沙羅がそう唱えると
地面に大きな魔法陣が浮かび上がる
いつにも増して大きい、
あらかじめ用意しておいたものだ