いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第3章 私がもっと、強かったら。
「太宰、お前は云ったな。“暴力と流血の世界にいれば、生きる理由が見つかるかもしれない”と……」
「ああ、言った。言ったがそんな事今は________」
太宰の言葉に被せるように、
織田作が声を絞り出すように、
「見つからないよ」
と言った。
その言葉に太宰は大きく目を見開いた
「自分でも判っている筈だ。人を殺す側だろうと救う側だろうと、お前の予測を超えるものは現れない。お前の孤独を埋めるものは、何処にもない。お前は、永遠に闇の中を彷徨う」
「織田作……私はどうすればいい?」
「太宰…沙羅…」
静かに2人の名前を呼ぶと
太宰と沙羅は
黙って言葉の続きを待つ、
「人を救う側になれ」
そして、織田作の言葉は、
2人の耳によく響いた
『人を、救う……』
「どちらも同じなら、良い人間になれ、弱者を救い、孤児を守れ。正義も悪もお前らには大差ないだろうが…その方が、幾分か素敵だ」
「何故判る?」
「判るさ。誰よりも判る。……俺は、お前らの友達だからな」
“友達”
その一言は、2人の心に
強く刺さった
「…判った。そうしよう」
「”人は自分を救済する為に存在する”か……確かに、その通り……だ……」
織田作が触れた太宰の頬から、
解けた包帯が地面へ舞った
『織田作…………』
涙を堪えるように震えた声で
沙羅が最後に名前を呼ぶと
織田作は、静かに息を引き取った