いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第3章 私がもっと、強かったら。
少し走ると直ぐに
ミミックの拠点まで辿り着いた
「…ここか」
その時、乾いた銃声の音が
建物の中から聞こえて
太宰と沙羅は
周りに倒れる幾つもの死体も気にせず
全速力で建物の中に駆け込んだ
その銃声の音は、
織田作とジイドの発砲した銃の音で
バタッと人が倒れる音が、
2回、響いた
「『織田作っ!!』」
太宰と沙羅は同時に名前を呼んだ。
コートを脱ぎ捨て、
大切な友人に駆け寄っていく
倒れた織田作の背中を支えれば、
支えた手には真っ赤な織田作の血があった
銃を受けて出来た傷から溢れる大量の血、
それを見ただけでもう、
織田作は助からないだろうと
いうことが理解できてしまう
「莫迦だよ織田作っ……君は大莫迦だ…あんな奴に付き合って……」
太宰は織田作の血のついた自身の手を
力強く握りしめながらそう言った
『織田作っ…嫌だ…そんなの嫌だよ……!!あと少しで……あと二週間もあれば、復元の、治癒の魔法式が完成する所だった………!私がもっと、強かったら、助けられたのに……』
沙羅はずっと前から、
復元能力の魔法式を研究し続けていた
それが完成すればきっといつか役に立つ
そう思って、ずっと、
でもその能力を使う為の式は
そう簡単には生み出せなくて、
やっとあと少しというところまできていた
だけど、一歩、遅かった…。
「太宰……沙羅…、お前らに、言っておきたい事がある…」
「駄目だ、やめてくれ。まだ助かるかもしれない、いや、きっと助かる。だからそんな風に______」
「聞け」