いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第3章 私がもっと、強かったら。
沙羅は急いでベットから降りると
ハンガーにかけてあった
白いロングコートに袖を通す
そして胸ポケットに入れていた
一本のペンを取り出し、
その場にしゃがみ込んだ。
床に左手を付け、
大きく息を吸い込む
『…………大丈夫、今なら失敗しない。異能力、“仮想魔法”』
沙羅がそう言うと、
自身の真下に丸い紫色の
魔法陣のようなものが浮かび上がる
『“転移!!!”』
右手に持つペンをギュッと握り
そう叫ぶと、沙羅は
眩しい光に包まれて
一瞬にしてその場から跡形もなく姿を消した。
この時沙羅が使った能力、
“転移”は
その名の通り、指定した人物や物を
転移、転送、瞬間移動する事ができる能力だ
ただ、場所指定ならその場所の景色を
よく記憶していないと
そこに転移する事はできないし、
誰かの所に転移する場合は
その人の所有物に触れていないといけない。
そして、
先程沙羅が手にしていたペンは
目的地にいる太宰から借りていたものだった
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『治!!』
「沙羅…!?随分と早かったね」
太宰のいる地点に転移した沙羅は
走りながら太宰に話しかけた
『起きてすぐメールに気づいて、そのまま転移でここまで来た。治からペン借りといて良かったよ』