いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
「休む気が無いのなら、キスしてあげようか?」
沙羅に顔を近づけて
太宰はニヤッと笑みを浮かべる
バサッ、と沙羅の手から
書類がもう一度床に落ちた音がした
『なっ…!』
そして状況を理解した沙羅は
一瞬にして顔が赤くなる
「今更照れることないじゃないか、今まで何回もしてきたのだから」
『何回もって、あれは仕事でしょ…っ!しかもたったの3回!!』
沙羅の異能力は異性とキスをする事で
一時的な能力強化、体力・疲労
を回復をする事が出来る
太宰の言う“今まで”とは、敵と戦う時に
能力強化の為にしただけの事
そして沙羅はこういうのに抵抗がない
慣れていないのだ。
『…っそれに、今キスしたって一時的な疲労回復じゃ意味ないでしょ!』
「ふふふ…、沙羅はやっぱり可愛いね」
そんな沙羅を見て太宰は
反応を楽しむように言葉を続ける
『治、私を揶揄ってる?』
「だって面白いからね」
『もー!揶揄いに来たならあっち行ってて!』
沙羅は両手で太宰を押して
距離を取ろうとするが、やはり力では敵わない
「でも、さっきのは本心だよ」