いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
−沙羅side−
少し上を見上げると、治と視線が合った
茶色の綺麗な瞳が私を捉えている。
ポートマフィアとしての治は、
闇を見るような、何処か遠くを見ているような
そんな目をしていた。
でもこうして2人で話す時だけは
暖かい、優しい目で私を見てくれる
其れが心地よくて、
私は治と過ごす時間が好きだった。
『ふふっ』
思わず表情が緩んで、笑みを溢した。
私は治の肩に寄り掛かるように
体重を預けると、
何故だか一気に眠気が襲いかかってくる
「…休む気になったのかい?」
『………治が休めって言ったんだから、責任、取ってよね』
治の隣にいると凄く安心する、
だからこそ今、溜め込んでいた疲れが
どっと押し寄せてきたのだと思う。
気づいた時にはもう、深い眠りに落ちていた
−太宰side−
沙羅が突然私の肩に
寄り掛かってきたかと思えば、
沙羅は静かに寝息を立てながら
すぐに眠ってしまった。
そっと沙羅の前髪をかき分けると
綺麗に整った沙羅の顔がよく見える
桜色の髪を持つ沙羅は
それだけでも十分美しいのに
こうして近くで見ると、
危うく惚れてしまいそうだ
「…………いや、もう惚れてるか…。沙羅、私はね、仕事として君にキスをした事なんて一度もないよ。」
沙羅が完全に眠っているのを確認した後
私はそっと沙羅の額に唇を落とした
ひょいと軽々しく沙羅を抱き抱えると
そのまま執務室の隣の
沙羅の部屋のベットに寝かせ
静かに部屋を後にした。