いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
『んー…覚えたというかなんというか、生まれた時から頭に入ってたんだよね。あ、拾ってくれてありがと』
沙羅はペンを動かす手を止めると
隣に座る太宰から書類を受け取る
書類に書かれている大量の文字の正体は
沙羅が異能を使うときに
頭の中で組み立てる魔法式の羅列
平仮名でもアルファベットでも
ハングル文字でもない、
不思議な形をした文字だった
『まぁ、今私がやってる事は世間一般的にいう科学実験みたいなものだよ。この文字式を並べることで新しい力が使えるようになる』
「世間一般的では無いと思うのだけれど…。それより、“ちゃんと休みな”って言った事、忘れてないだろうね?」
太宰のその言葉に
沙羅は一瞬動きを止めた
別に沙羅は言われた事を忘れた訳ではない
だが、現時刻は深夜3時。
休む気がないのはどう見てもバレバレだ
『…ていうか治こそこんな時間にどうしたの?』
「どうせ沙羅は休んでないだろうから、様子を見に来た」
『どうせって…、わっ!?』
一向に休む気のなさそうな沙羅を見て
太宰は沙羅の腕を引っ張り
顎に手を添え自分の方に向かせた
『え、と…治、??』