いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
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『………この魔法式は、完成してる。これはまだ改善の余地あり。これは……ここをこうして…』
あの酒場から帰ると、
私は自身の執務室のソファーに座り
異能を強くする為に
大量の書類と共に研究を続けていた。
幹部、準幹部には一人一人執務室が与えられ
すぐ隣には自分の部屋として使用できる
個室まで設備されていて
ポートマフィアの者は基本自宅通いだが
ここで寝泊まりすることもできる
そして沙羅には家が無い為
いつも隣の個室で生活していて、
その分夜遅くまで
仕事や研究をする事ができるのだ。
「沙羅」
『ぅわっ!?びっくりした…!治か…もう、心臓に悪いから入る時ノックしてよ…』
書類と睨めっこしていた沙羅の
耳元で突然太宰が沙羅の名前を呼んだ
そしてまさか隣に太宰がいるだなんて
全く気づいていなかった沙羅は
驚いて書類を地面に落とす
「何回もノックしたのだけれど?…灯りは付いているのに一向に返事がないから来てみれば、こんな時間まで仕事とは…」
『仕事じゃないよ。これは…私が勝手にやってる事』
太宰は沙羅の隣に座ると
落ちた書類を拾って、一枚一枚見ていった
「異能の研究か…。うわ、相変わらず凄いねぇこれ」
拾った書類をじっと見る太宰、
だが流石の太宰でも
この文字は読むことが出来なかった
「こんな文字どうやって覚えたんだい?」