いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
「この抗争はいつまで続く?」
「ミミックの兵士はともかく、指揮官の異能力は厄介だね。」
『そうだね、奇襲が効かないのはかなり厄介』
「となると、内部情報が必要だ。心当たりはあるかい?」
「安吾しかいない」
少しの間を持って織田作がそう答えた
「私と沙羅も同意見だね」
「安吾を探す方法はないものかな」
「ある」
「あるのか?」
織田作がそう訊いたところで
立ち止まると、
『正確に言えば、探し出す必要すらない。そうでしょ?』
沙羅が横にある看板を見ながら言った
4人がよく集まっていた場所、
そのいつもの酒場の看板を
「…ここか」
「他にあるかい?」
そっと酒場の扉を開け中に入れば
「やあ、どうも。お先にやってますよ」
いつものように、カウンターに座り
3人に話しかける安吾の姿があった
安吾は、ポートマフィアに入る前から別の顔があった。それは国の秘密機関、内務省異能特務課のエージェントとしての顔だ。任務はポートマフィアの動向を監視し。国内の異能力者を統括する秘密組織といえど、ポートマフィアと全面戦争となればただでは済まない。だからマフィアの内部にエージェントを潜入させ、動向を監視していた。
そしてそこにミミックの話が持ち上がった。日本上陸を計画していた異能犯罪組織は、特務課からしても頭の痛い存在だ。そこで安吾にミミックの動向も探らせる事にしたのだ。ポートマフィアのスパイとして。
つまり、安吾は二重スパイではなく
三重スパイだった訳だ。
「ミミックについて教えてくれ」
「ジイドと織田作さんが会的したという情報が入りました。ジイドの異能力は見ましたか?」
「見た」