いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
『織田作、まさか行くつもりなの?』
「全戦力を持って迎撃するんだろう」
「人殺しをしない織田作は、抗争なんて興味ないと思っていたよ」
「ない」
織田作はベットの横に畳んであった
コートを手に取り、
そう言いながら立ち上がった
『じゃあどうして…?』
沙羅が心配そうに織田作に問えば、
「借りの多い人生だからな。部下が苦戦中なら、助けが必要だ」
織田作はそう言い残して、
病室のドアを開け去っていった。
静かな病室には、
ドアの閉まる音だけが響いて
「借りなんて忘れて仕舞えばいい。相手だって、何を貸したかなんて、憶えちゃいないさ」
独り言のように、
太宰がそう呟く。
沙羅は織田作が行ってしまった
病室のドアを眺めたまま
ただ呆然と、その場に座っていた
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あの後織田作は、
ミミックの長のジイドという男に会った
その場にいた芥川を助け出し、
そのまま美術館の外へ出る。
そしてその男のは、
織田作と同じ、未来予知のできる異能を
持っていることが分かった。
その日の夜_________
「夜は良い。マフィアの時間だ」
太宰と織田作と沙羅は
霧のかかった裏路地を
3人並んで歩いていた。