いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第2章 戻れない場所
−沙羅side−
「最近疲れてるように見えるし…困った事があるならちゃんと言えよ?」
どうしてこう、君達は
こんなにも優しいんだろう。
治だけじゃなく、中也にも
私がちゃんと休んでいない事がバレていた挙げ句
2人共こうして私を優しい目で見てくれる
『…バレてた?私が最近疲れてる事」
「バレるも何も、最近少し様子がおかしかったからな」
『ええ?私、そんなにバレバレだったの?!』
「いや、多分他の奴等にはバレてねぇよ。でも俺にはすぐ分かる。……あと太宰の奴も気付いてんだろ」
疲れとかそういうものは
なるべく見せないようにしているつもりだった
けど、付き合いの長い中也と治には
どれだけ隠してもやっぱり見破られてしまう
「いいか、もしも何かあった時は隠さずちゃんと言え、絶対!」
中也は私の頬を両手で掴んで
顔を覗き込むとそう言い張った
『……中也、顔近いっ…』
私が目を逸らしながらそう言うと
中也も徐々に頬が赤くなる
我に帰るとその距離の近さに
動揺したのか焦って手を離した
「!!っ悪い…」
『………でも、ありがと。ちょっと元気出た!』
逸らした視線をもう一度中也の方へ向けると
ニコッと笑ってみせた
「…手前はやっぱり、笑顔の方が似合う。」
『え?』
「なんでもねぇよ。じゃあな」
中也は私の頭をくしゃっと撫でて
そのまま通り過ぎて行った
私の頭に触れた中也の手は
暖かかった。