いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第1章 黒の時代
「あの、死体の何をお調べしましょう」
黒服の1人の男がそう太宰に問う
「全部だよ。靴底、ポケットの屑、服の付着物、すべてが手懸かりだ。……全く、うちの部下は揃って敵を嬲り殺すだけがマフィアだと思ってる。この調子だと、織田作1人で解決してしまいそうだ」
無表情な太宰だが、
微かな怒りをひしひしと感じさせる
「その男なら、私も知っています。マフィア内にあって、人を殺す度胸のない男。…とても、太宰さんと沙羅さんと釣り合うような人間とは思えません」
「君の間違いは二つ。釣り合う釣り合わないに度胸は関係ない。もう一つは忠告だ。織田作は怒らせない方がいいよ、絶対にね。もし彼が心の底から怒ったなら、この部屋にいる全員が銃を抜く間もなく殺されるよ。本気の織田作は、どんなポートマフィアより恐ろしい。芥川君、君なんか百年経っても織田作には勝てないよ」
「……莫迦な…有り得ない。太宰さん、貴方は僕を……」
芥川は言葉を絞り出すように
太宰に向けた
それを太宰は
聞こえていないかのように無視して
死体を調べ始めた。
「さあ仕事に戻るよ。敵も面倒だけど、早く抗争を片付けないと異能特務課が出張ってきてさらに厄介なことになる」
『全く、人使いが荒いんだから……。』
はぁ、とため息をつきながら
沙羅も太宰の隣で
死体を覗き込んだ
しばらく死体を調べていると
『………ふぁ〜あ』
と沙羅が小さくあくびをした。
それを見た太宰は
死体から沙羅に視線を移す
「沙羅…」
『……あっごめん、今仕事中なのに』
「…それは別に良いよ。そうじゃなくて、」