第1章 風邪⦅宿儺⦆
「そうか? のおかげでだいぶ良くなった」
『良かったです』
ニコッと笑って宿儺の布団から出ようとする を宿儺は抱きしめた。
「何処に行く」
『狭いでしょうから退きます』
「退かずとも良い」
『ゆっくり体を休めた方が良いですよ?』
はそう言うが、宿儺は離すつもりは無さそうだ。
布団から出る事を諦めた は宿儺に寄り添った。
「はじめから そうしていれば良いのだ」
満足そうに そう言うと宿儺は に口付けをした。
ぬるり、と舌を の口内に滑り込ませると、自分では熱は下がったと思っていたが、 の舌は いつもより冷たく感じ、まだ自分の熱は下がりきっていない事を自覚した。
「… に風邪が移ってしまうな」
名残惜しそうに の唇から離れ、宿儺はそう言った。
『……ヒトに移すと治りが早いと言いますよ』
は宿儺を見て優しく笑った。
『宿儺さまの風邪が移っても私は構いません』
「 …
ケヒッ、俺は良い嫁を見つけたな」
驚いたように の名を呼び、宿儺は口角を上げて笑った。
「雄と言うのは疲れている時や、自分の生命が危機にさらされると性的に興奮すると聞いた事があるが、まさか本当だったとはな」
『??』
宿儺の言葉に首を傾げる の頬に手を添え、宿儺は もう一度 に口付けをした。
宿儺のペースに引き込まれ、自分の舌に絡む宿儺に応えると宿儺は の胸の膨らみに手を添えた。