第3章 忘れさせてあげる⦅七海⦆
今は そっとしておくのが本人のためだと判断した七海は、「分かりました」と言って荷物を回収し の部屋を後にした。
七海が部屋から出て行き、少ししてから七海から連絡が入ってきた。
【1人で抱え込まず、何かあれば相談してください】
七海の優しさに は自分の唇をグイグイと強く擦りながら、また涙が溢れた。
☆ ☆ ☆
に連絡をしたが返信が来ない事を心配していた七海は、自販機の近くのベンチで腰を下ろしていた。
たまたま近くを通りかかった五条は七海に声をかけた。
「や、七海。 に、報告書は出しておいた、って伝えておいて♪」
いつも通り、ひょうひょうとした声でそう伝え、その場から去ろうとする五条を七海が引き留めた。
「五条さん、なぜ の報告書を貴方が提出しているのですか?
今回の任務は の単独だったはず。
が直接夜蛾学長へ提出すれば良いはずですよね。
… と何かあったのですか?
の様子がおかしかった」
サングラスの奥の眼をじっと見つめる七海に、五条は少しだけ考えてから答えた。
「そうだよ」
「チッ。何があったんですか?」
舌打ちをして七海は五条に聞くと、「キス」と五条は答えた。
「…何ですって? もう一度良いですか?」
冷静を装いながらも、その声には確かに怒りが滲み出ていた。
「だぁかぁら、キスしたの に」
殴り付けたい衝動をグッと抑えて七海は五条を睨みつけた。