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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第208章 208




「かなり、危ない思考になってるのは、自覚してる。それがの為にならないって、よくない事ってわかってるけど」
「さらに、は君がそう望むならそれを受け入れてしまう。本人も笑顔で気丈に振舞っているけど、相当怖い思いをしたと思う。だから、今弱ったの心にそんな甘い言葉を埋め込んだら…」

女優・歌手のは死んでしまう。
そう言って、天はそっと目を閉じた後、キッと龍之介を見上げた。

「龍の庇護下で、は幸せかもしれない。だけど、は天性の女優で歌手だ」
「うん」
「だから、この世界から、僕達から…僕から、を奪わないで」

龍之介に取ってがかけがえない人であることは百も承知。
だけど、最後に自分の我儘も付け加えて、天は龍之介に懇願した。

「…天、大丈夫だよ。が望む限り、俺はを閉じ込めない」
「本当に?」
「ほんとに…俺そんなに信用ないの?!」
「を甘やかすことに関しては」

キッパリと言い切られ、龍之介はそうかなぁ、そうかもなぁ、と苦笑しながらナースステーションへと顔を出す。

「すみません、の退院についてご相談したいんですが…」

龍之介と天の訪問に色めき立つ看護師達だが、丁寧に相談に乗ってくれ、の退院は夕方以降にしようという事で決まった。

「それまで、暇だよね」
「んー…うん、そうだねぇ。でも台本があれば…ああ?!どうしよう!鞄の中にまだ覚えきってない台本入ってる!」
「え?!大神さんは持ってない?」
「万理さん…は持ってると思うけど…えーーーん、書き込みとか超頑張ったのにぃ…」

途端にしょんぼりとするを見て、龍之介は天を見る。

「なに?龍」
「俺が閉じ込めようとしても、は自分でこじ開けて出て行っちゃうかも」

心から、女優と歌手の仕事を愛しているのだ。
それ以上に龍之介を愛していることは事実。
けれど、どちらかを選ぶことは出来ないほどに、はどちらも大切にしていることが今の様子からだけでありありとわかる。

「…うん、そうだね。それだけのガッツがあるから、僕もが愛しいんだった」

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