君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第207章 207
「いえ、少しでもお力になれて良かったです。犯人両名とも特定されているので、逮捕も間近でしょう。またお話を聞くこともあるかもしれませんが…」
「はい。協力は惜しみません」
それではもう遅いので、ゆっくり休んでください。と刑事は去って行く。
「お疲れ様」
「龍くんも、お疲れ様。本当にありがとう、助けてくれて」
「が頑張ったんだよ。俺は、何もできなかった…」
「私が事件に巻き込まれたって気付いてくれた。心配してくれた。迎えに来てくれた。それに、龍くんがいるから、諦めずにいられた。充分助けてくれたよ」
「事件に気付いたのだって、の機転があったからだよ」
そう言って龍之介はポケットをあさり、指輪を取り出す。
途端、は目を見開き、ぽろぽろと泣き出した。
「…?」
「咄嗟に…外すしかなかった…っけど、もしなくしたらど、しよって…思ってたの…良かった…っ」
無事に帰ってきたプレエンゲージリング。
エンゲージリングは自宅にあり無事だったが、この指輪も龍之介から貰った大切な指輪だ。
指輪を持つ龍之介の掌ごとそっと掴み、涙を零す。
「…おいで」
「龍くん…会いたかった…怖かったよぉ…」
「うん、よく頑張ったね、。凄いよ。帰ってきてくれてありがとう」
そっと頬を撫でられ、そう告げられればは涙を浮かべながらも嬉しそうに微笑みで答える。
そんなの笑顔に龍之介もまた微笑み、そっと抱きしめた。
「暖かい…大好き」
「うん、も暖かい。愛してるよ」
何よりも、どこよりも、安らげる場所。
どんなところにいても、互いがいれば幸福に満たされる。
そんな二人が見つめ合えば、唇が重なるのに時間はかからなかった。
「、付けていい?指輪」
「うん」
頷くの左手をそっと取り、薬指に指輪を嵌める。
軽く左手を握り、指輪がぴったり嵌まっていることを確認すればは嬉しそうに微笑んだ。
「…おかえり。ありがとう」
そっと指輪を撫で微笑めば、龍之介もの手をそっと包み撫でる。
「」
「ん?」
「そろそろ休もう?」
「うん。…龍くんは?」
「俺もここに泊まるよ。一応警備も付くみたいだけど」