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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第207章 207




「彼には無謀だって、後から怒られちゃうかもしれないんですけど…。嘘をついたんです」
「嘘?」
「はい。一緒に持ち去られた鞄は車に置きっぱなしだったんですけど、そこにGPSが入ってるからもう居場所を特定されてるかもしれないって。いくらスキャンダルが多い俳優さんでも、こんな犯罪は慣れてないだろうと思ったんです。それに、スタッフさん…山内さんも誘われて安請け合いしたように見えました」

だから、ちょっと突いたら隙が生まれるかなって。
そう苦笑交じりに呟くに、隣の龍之介はがっくりと肩を落とす。

「」
「ごめんなさい」
「そんな時にまで女優魂発揮させなくても…もぉ、嘘ってバレたらどうする気だったの」
「そこまで考えてなかった…早く龍くんの傍帰りたいって…そればっかで…」
「…うん、そうだよね。俺も早くを見つけたかった」

ただでさえ抱いたままの肩から頭まで抱き寄せる龍之介に、刑事はそっと視線を外しながらごほんと咳払い。

「それから、どうなりましたか?」
「はい、まんまと…っていうと言い方悪いかもしれませんが、思った通り、二人が慌てて場所を移すと言い始めて、山内さんが車のエンジンを掛けに先に出ました。鳳さんと私だけになって、多分、私をまた抱えていくのが大変だったんでしょうね、手足の拘束を解かれて…」
「それは、幸運でしたね」
「はい。それで、鳳さんの隙を見つけて非常階段から降りて外に出ました。繁華街の明かりが見えたのでそっちに走って…後ろから追いかけられているのは分かりました。でも、さっき匿って貰ったお店の前あたりで追いつかれてしまって…」

掴まると同時に、何で逃げるんだ!と鳳は叫び、の頬を殴ったのだという。
途端、龍之介の表情が険しくなるが、はそんな彼の背をそっと撫で、微笑んで見上げる。

「そこからはお店のボーイさんが助けてくれて、お店の中へ入れてくれて…龍くん…あ、十さんの番号は覚えていたので電話を借りて掛けました。しばらく外が騒がしくて怖かったけど…お姉さんたちが優しくて、それに、すぐ彼と刑事さんたちが来てくれたので…」

安心しました。
そう言って言葉を締め、は、ありがとうございました。と刑事に頭を下げる。

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