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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第207章 207




部屋は個室を用意してもらえ、院内着に着替えたはベッドに横たわっていた。
龍之介はベッドの傍に椅子を置き、座っての頭を撫でる。
そこへノックと共に刑事が入って来た。
はベッドの端に腰掛け直し、その隣に龍之介が座る。

「さん、早速でお辛いかもしれませんが、事件発生時の事をお聞かせ願えますか?」
「はい。夜の8時半くらいだったと思います。スタジオでレッスンを終えて、TRIGGERの皆さんはまだ打ち合わせがあるとのことで私だけ先にスタジオを出ました」

ビルの入口を出た瞬間、口を塞がれ、抱えられて車に連れ込まれた。
相手が見えないまま目隠しをされて、車で運ばれたことをは淡々と話す。

「繁華街から少し離れたホテルだったと思います。必死に逃げたのでホテル名までは覚えていません。すみません」
「いえ、目撃情報などを今集めているので、すぐにわかると思います。犯人は二人とのことでしたが、知っている方ですか?」
「はい。一人は俳優の鳳響也さんです。もう一人の方は、以前撮影でお世話になったスタジオのスタッフさんです。確か名前が…山内さん」
「覚えてたの?」
「スタッフさんがいなきゃ現場は成り立たないもん。出来るだけ覚えるよ」

そう言って微笑むの頬には現在、湿布のようなものが貼られている。
痛々しさはあるが、本人は痛みが少ないらしい。

「さすがだなぁ…」
「下の名前は分かりますか?」
「いえ。余り関わりのない方だったので、フルネームは知りません」
「わかりました。…非常に聞きにくいのですが、被害は連れ去られたこと、頬を殴られたことだけですか?」

他に殴られた場所はないか、何か飲まされていないか、性被害に遭っていないか、暗にそれを聞きたいのだろう。
龍之介もそれに気付いたのか、の肩をそっと抱き寄せる。
はそんな龍之介を見上げてから刑事の言葉に頷く。

「刑事さんの仰った事のみです。多分、彼らと居た時間は二時間もないかと思うんですが…」
「そうですね。事件の知らせからさんの保護まで、ほぼ三時間。さんの自力脱出が大きいかと思いますが、その事についてお話しいただけますか?」

再度頷き、は龍之介を一度見上げてからそっと口を開く。

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