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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第206章 206



自らの足で、立って、駆け寄って来るその姿に、龍之介もまた視界が滲む。

「…!!良かった……本当に良かった…!」

加減なんてできなかった。
兎に角、この腕に、胸に、の存在を刻み付けたかった。
思いきり抱き締め、頭を撫でる。
もまた、もうこの温もりを離すまいと龍之介の広い背中に腕を回し、ぎゅう、と抱き着く。

「ごめんなさい…心配かけて……ごめんなさい…」
「よく頑張ったね。謝らなくていいんだよ。本当に、よく頑張った」

これ以上ない安堵感と、気の抜けるような安心感。
失っていた心の穴を埋める、愛しい存在。
の頬を撫でようと、少し体を離し、そして目を見開く。

「…頬…」
「大丈夫。一回殴られただけ」
「大丈夫じゃない!病院行こう!」

の姿に安心しきってしまったが、改めて見れば頬に痛々しい痣が出来ていた。

「ホントにTRIGGERの十くんだ」
「十さん、大丈夫だよー。うちのボーイ達が相手100倍くらいボコったから。女の子の、しかも女優の顔殴るなんてありえない。まじキモい」
「でもごめん、ソイツ逃げちゃった」

店のキャストがに追加の氷と食べなー?と果物を持ってくる。

「犯人はどっち方面に逃げましたか?」
「えーっと、あの公園なんだっけ?おっきい公園」
「ありがとうございます。応援呼んですぐに捜索だ!」
「でもさ、人気俳優だったのにあそこまで落ちぶれるなんてね」
「え…?」
「ちゃん殴ったの、アイツだよ。最近テレビで見ないけど、鳳響也」

キャストのその一言に、龍之介は驚きよりも怒りが勝ったようだ。
ガンッ、と思わずテーブルを殴ってしまう。

「たっぴらかす…」
「だ、だだダメだよ龍くんそんな事言ったら!」
「え?なんて言ったの?」
「叩き潰すって…」
「いくらのいう事でも聞けない。絶対に許さない!」

相当である。
これまで感じたことのないほど、龍之介から怒りが伝わってくる。
普段温厚な人がキレたら怖いとはこういう事である。
また飛び出してしまいそうな龍之介に、は小さく深呼吸してから龍之介を見上げる。

「龍くん、私を見て」
「………」

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