君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第206章 206
「被害者を乗せた車は新宿方面へと向かったようです」
「緊急配備!覆面パトカーは近辺を警戒!対象を見つけたら即保護、即逮捕だ!」
タクシー運転手が遠くに猛スピードで走り去る車を見たという連絡が入ったのが十数分前。
交通カメラなどで確認をし、恐らく犯人のものであろう車を特定したのが現在だ。
「運転手の写真上がりました!」
「よし!…女?」
「見せてもらえますか?」
龍之介の言葉に刑事が写真を手渡し、全員で覗き込む。
「この子…」
「こいつ…!」
「大神さん、楽、知ってるの?」
「Dスタジオのスタッフだ。俺とのドラマん時、あいつに当たり強い奴がいるって言ったろ?こいつだ」
「なんで…」
どうしてこんな事を…。
そんな思いが駆け巡っている中、龍之介のスマホが鳴った。
画面を見れば、見覚えのない番号。
「犯人からの要求かもしれない。スピーカーで出てください」
「…っはい!」
その場に緊張が走る。
龍之介がスピーカーホンにし通話ボタンを押せば、荒い呼吸がまず聞こえた。
「もしもし…」
『っは…りゅ、く…』
「?!」
それは、どれだけ待ち望んだか分からない愛しい声。
龍之介は刑事を見、頷いた。
「逆探知!」
「!今どこ?!」
『歌舞伎町…っはぁ…のどこだっけ…キャバクラ…で匿って貰って、る。店名…お姉さん、店名なんだっけ?』
『クイーンルージュだよー。ちゃん、お水飲みな?』
「クイーンルージュ…すぐ迎えに行くから!待ってて!」
『ありがと…ごめんね…』
「…謝らなくていいよ。すぐに行くから」
『うん…』
既に出発の準備は整っている様で、龍之介は警察の用意した覆面パトカーに乗り込み、から聞いた店へと向かう。
「TRIGGERの十龍之介?!」
「なんでここに…」
「撮影です!あ、あった!あそこです!!」
店名を見つけ、階段を一気に駆け上がる。
エレベーターを待っている時間すら惜しい。
豪奢な扉を開け店に飛び込めば、ぐったりとした様子で、これまた豪華な革張りのソファに座っているの姿を見つけた。
「!!」
「!龍くん…龍くん!!」
力強い呼び掛けに閉じていた瞳を開き、そのまま大きく目を見開けば、涙を浮かべながらが駆け寄ってくる。